小舟のほとりで

ナインストーリーズの一編。グラース家の三人目の子供で長女でもあるブーブーとまだ小さいその息子の話。何度も小さな家出を繰り返し、反抗的な息子のライオネルと、その全てを理解した上で問いかけるブーブーとのやり取りが温かい。冒頭でメイドのサンドラが「あたしゃくよくよしないよ」と自分に言い聞かせるように言って歩いているシーンがある。もう一人のメイドのミセス・スネルは「どっちみち、あの子が告げ口するかしないか、二つに一つでしょ」とサンドラに言って聞かせている。

メイドたちはこの家の息子ライオネルに良い感情を持っていないらしい。最後にライオネルがそのことを母親に打ち明けるのですが、著者であるサリンジャーもライオネルと同じようなことが過去にあったのでしょうか。